こんにちは⭐️
今日は超音波検査から判る腸の異常についてお話します。獣医学では犬、猫の情報は確立されてきていますが、まだまだうさぎ、フェレットなどのエキゾチックアニマルに関しては情報が少ないため、主にわんちゃんについてのお話になります。
お腹の調子が悪い場合、多くのわんちゃんが吐き気や下痢を症状として訴えます。
ここで、最も大切にしていることが、『一過性』かそれとも『腸に異常があり、病気』なのかを見分けることです。
『一過性』と『病気』の見分けは、犬種、年齢、身体検査、発症時期などからおおよそ推測することはできますが、やはり高齢の犬の場合は『病気』が隠れていることがあります。
では、その『病気』を見つけるための検査方法に、超音波検査というものがあります。
超音波検査は肝臓、膵臓、脾臓、腸などの臓器を鮮明に描出しますので、病変がある場合は明らかな異常として発見しやすいことがメリットです。(もちろん、デメリットとして全体をくまなく観察することが難しく、胸が深い犬種ではすべてを観察することが困難になります)
超音波検査の画像の見方を簡単にするため、色合い(白、黒)と厚みの2点で説明していきます。
では、正常な腸の画像です。
画面中央の赤丸に囲ってあるものが、腸の画像になります。画面上から黒、白、黒の順番であること、厚み(緑線)が画面の左下2.6mmに記載してあります。(画像診断では黒が大切です)
黒、白、黒と厚みに注目してみて下さい。
まず、『一過性の腸炎』では。。。
食べ物が停滞しているため、黒、白、黒のうち白が目立ちます。厚みは3.6mmで正常になります。
正常の画像と比べてみても、白のみが強調されている以外は異常なしです。
一過性の腸炎では、腸の動きが悪くなるため、上記の画像結果になります。
次に、病気である重度の慢性腸炎では。。。
正常の画像と比べてみてください。(下記が正常です)
白の見え方が歪んでおり、また黒の部分が大きく見えています。そのため、厚みも4.6mmと7.0mmと厚くなっています。
重度の慢性腸炎では、腸の炎症が持続しているため、腸自体が厚く腫れてくることが分かっています。
最期に、病気である腸の腫瘍では。。。
正常の画像と比べてみると、黒の部分がより大きくなっています。厚みも8.2mmと非常に厚くなっています。
比較的よく行う機会がある血液検査は、腸炎のマーカーが少なく、このような異常を発見することが難しくなっています。
定期的な健康診断の際に、超音波検査までしっかり組み込むことで病気の早期発見、早期治療につながります。
超音波検査は腸炎の診断にとても有効ですので、気になる症状がある方はぜひ一度受診してみて下さい。
アリイ動物病院 院長
電話0466-41-9581