猫ちゃんの悩みで多い、『便秘』についてご紹介いたします。
排便回数について、非常に個体差が多いものです。
通常、1日1~2回の排便をしますが、日頃から2~3日に1回の子もいますが、
『1日1~2回の子が3日に1回になった場合』や『2~3日に1回の子が5日に1回になった場合』には、
それぞれ『便秘』としての対応が必要になります。(普段より2日遅れてでる場合です。)
多くの原因から、便秘は発症すると考えられていますが、さまざまな要因が重なっていることが多いです。
1、異物
2、炎症:炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎など
3、腫瘍:大腸腺癌、小腸腺癌、リンパ腫など
4、骨盤骨折
5、会陰ヘルニア
1、脱水:慢性腎臓病などの基礎疾患がある場合
2、低カリウム血症
3、脊髄損傷
4、自律神経障害
5、特発性巨大結腸症
特に、腫瘍性疾患、脱水を引き起こす基礎疾患の存在、巨大結腸症が多い印象を持ちます。
実際のレントゲン写真になります。
便秘の状態にもよりますが、食欲低下や吐き気が伴っている場合には、検査を行うよう心がけております。
その結果に基づいて、治療を実施しますが、基本的な治療は以下の内容になります。
食事治療:高繊維食への変更
水分量の確保:飲水量の増加または皮下点滴の実施
内服薬による治療:消化管運動性の向上薬、下剤など
外科手術による治療:腫瘍性疾患や巨大結腸症の場合に限ります。
浣腸による治療:緊急時に鎮静剤を使用して実施します。
便秘については、なるべく早く良くしてあげたい悩みの1つですが、
便の出方が落ち着くまでに少なくとも2~4週間は必要になることが多いです。
緊急時は、鎮静下にて浣腸処置を実施しますが、根本的な解決にはなりません。
小さな排泄リズムの変化は、様子をみて頂いて問題ございませんが、
排便については、いつもの頻度より24時間(1日)遅れて出てくる場合には、
まずはご自宅にて治療食を食べさせてり、水分量を多くしたりして対応することが大切だと思います。
困った際には、お気軽にご相談ください。
アリイ動物病院 院長