消化器疾患シリーズ6:猫の便秘

猫ちゃんの悩みで多い、『便秘』についてご紹介いたします。

便秘とは、排便回数の減少や排便時に十分な量を排泄できず、苦痛を伴う状態を指します。

排便回数について、非常に個体差が多いものです。

通常、1日1~2回の排便をしますが、日頃から2~3日に1回の子もいますが、

『1日1~2回の子が3日に1回になった場合』や『2~3日に1回の子が5日に1回になった場合』には、

それぞれ『便秘』としての対応が必要になります。(普段より2日遅れてでる場合です。)

便秘の原因について:器質性、機能性の2つから成り立ちます。

多くの原因から、便秘は発症すると考えられていますが、さまざまな要因が重なっていることが多いです。

器質性の原因

1、異物

2、炎症:炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎など

3、腫瘍:大腸腺癌、小腸腺癌、リンパ腫など

4、骨盤骨折

5、会陰ヘルニア

器質性の原因

1、脱水:慢性腎臓病などの基礎疾患がある場合

2、低カリウム血症

3、脊髄損傷

4、自律神経障害

5、特発性巨大結腸症

特に、腫瘍性疾患、脱水を引き起こす基礎疾患の存在、巨大結腸症が多い印象を持ちます。

必要な検査:血液検査、画像検査(レントゲン検査、エコー検査)

実際のレントゲン写真になります。

便秘の状態にもよりますが、食欲低下や吐き気が伴っている場合には、検査を行うよう心がけております。

その結果に基づいて、治療を実施しますが、基本的な治療は以下の内容になります。

食事治療:高繊維食への変更

水分量の確保:飲水量の増加または皮下点滴の実施

内服薬による治療:消化管運動性の向上薬、下剤など

外科手術による治療:腫瘍性疾患や巨大結腸症の場合に限ります。

浣腸による治療:緊急時に鎮静剤を使用して実施します。

便秘については、なるべく早く良くしてあげたい悩みの1つですが、

便の出方が落ち着くまでに少なくとも2~4週間は必要になることが多いです。

緊急時は、鎮静下にて浣腸処置を実施しますが、根本的な解決にはなりません。

小さな排泄リズムの変化は、様子をみて頂いて問題ございませんが、

排便については、いつもの頻度より24時間(1日)遅れて出てくる場合には、

まずはご自宅にて治療食を食べさせてり、水分量を多くしたりして対応することが大切だと思います。

困った際には、お気軽にご相談ください。

アリイ動物病院 院長